the planet


      
あの星まで行ってみよう。
そう思い、旅人は出発した。
不思議な色に輝く星だった。
星を目指して、何日も何日も歩き続けた。
けれども、旅人はその星に辿り着くことは出来なかった。
  
あるとき、立ち寄った町で、ひとりの少女に出会った。
「あの星に行かれるのですね」
「そうです。あの不思議な色の星まで、行ってみようと思うのです。 きっと、見たこともない景色を見ることができるでしょう」
「どうか、お気をつけて。あの星は、この辺りでは『惑いの星』と呼ばれています」
「惑いの星、ですか」
「そうです。ときに、ほかの星に紛れて姿を隠し、ときに、その色を変え、西へ動いたかと思えば東へ動く。そうやって、多くの旅人を惑わせてきたのです」
どうりで、いくら歩いても辿り着けないはずだと思った。
「どうすれは、あそこへ辿り着けますか?」
「忘れないことです。あなたが立つ場所を」
そして、少女は旅人に、小さな銀細工のペンダントを渡した。
星の形をしたその銀細工には、小さな石が埋め込まれていた。
その石は、淡い青色に光っていた。
「このお守りをお持ち下さい。見失ったとき、これがしるべとなってくれるでしょう」
「ありがとう」
「あなたの旅に、幸多からんことを」
そうして、旅人は町を出て、旅を続けた。
長い、長い道のりを、ひとり歩き続けた。
  
  
<了>

「the planet」 2012/1/14
(C) 2012 Kurage (Sasaki Kaigetsu)

  
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