一本楢    2006年11月19日

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	所在 宮城県柴田郡川崎町大字前川字藤株山1番地6
	基準点コード TR15740145901	二万五千分の一地形図 遠刈田
	緯度 38°8′4″.1483		経度 140°37′17″.0541
	標高 437.83m 
	選点 明治25年10月10日	埋標 明治25年11月15日

山頂の送電線鉄塔
 この三角点は、蔵王町の遠刈田温泉の東方約
5kmの山中にあります。川崎町との境界上に
あります。また村田町境も近く、三角点のある
ピークから谷を挟んだ東側には、同町の最高地
点である四方峠もあります。ちなみにこの四方
峠は、旧陸羽街道の峠のひとつで、北西方向の
川崎町内を通って笹谷峠に通じています。
 三角点を見るには、山の東側の蔵王町花町地
区から林道が通じているので、それを利用しま
す。軽トラックや軽四輪駆動車なら頂上まで行
くことが出来ますが、乗用車ではちょっと無理
なようです。私は花町地区近くの広域農道(道
幅が広くて立派な道で、三角点のある山の北側
を通って川崎町に通じています)の駐車スペー
スに車を停め、歩いて登ることにしました。

 花町地区の集落内の細い道路を歩いていくと、
驚いたことにバスの停留所がありました。こん
な細い所をよく通っているものだ、と感心しま
した。集落を過ぎたところにあるカーブの所に
右に細い舗装道路があります。これが山頂に通
じる林道のようです。幅が狭く、車1台通れる
だけで、離合は出来ません。事前にネットで得
た情報によるとここから2km半ぐらいとのこ
とですから、ゆっくり歩いても1時間はかから
ないでしょう。のんびりと歩くことにしました。
集落を過ぎても所々に民家があります。いかに
も山里といった感じの言い雰囲気です。やがて、
左にT字型に分岐が現れました。家で見た地図
によると(プリントしたのですが、忘れてきて
しまいました)、この2本の道は頂上近くでま
た合流しているので、どちらを行っても山頂に
到達することが出来るはずです。なんとなく左
の道を行くことにして登り始めました。道は登
りなのですが、さほどの急傾斜ではありません。
一応舗装された車道ですので、当然ですが。
 やがて、かなり高度があがってきましたが、
道は依然として舗装されています。「おかしい。
途中で舗装が切れるはずなのに。」と思いなが
らも歩き続けましたが、とうとう道が平坦にな
り、さらに降りになってきました。どうやら道
を間違えたようです。いったん分岐して合流す
る林道はこの道ではなかったようです。やむを
得ず戻ることにしました。こうなっては一刻も
早く分岐点まで戻って別な道を探さなければな
りません。自然に早足になりましたが、ふと気
付くと車のエンジン音が聞こえます。それも下
の方からのようです。立ち止まって耳を澄ます
と、案の定白い乗用車がゆっくりと登ってきま
した。道の脇にたってやり過ごそうとしたら、
車が停まり、窓から運転していた人が話しかけ
てきました。何と私と同じく三角点探訪をして
いる人なのでした。このSさんに、いま私の見
てきた様子を伝えましたが、やはり自分の愛で
たいかめた井らしく、上まで一応行ってみるか
ら、と同乗を勧められました。せっかくですの
で、後部座席に滑り込み、一緒にもう一度上ま
で登りました。車がUターンできるところがな
かったこともありますが。
 車で再び山頂付近まで登り、三角点が無いこ
とを確認してから下の分岐点まで戻り今度はも
う一方の道(T字路を直進)を行きました。車
中で色々と話をしましたが、この人は福島の郡
山から来たそうです。福島県内の一等三角点は
ほぼ訪れており、今度は宮城県内に足を延ばし
ているそうです。

 さて、もう一方の道は、初めはかなり平坦で、
狭いながらも走りやすい舗装道路が続きます。
しかし、やがて三叉路に着き、そこからは道の
傾斜がだいぶ急になっていくようでした。分岐
点のところがやや広くなっていたので、車をそ
こに停めて、歩いて登ることにしました。左手
が牧草地になっており、作業をしている人がい
たので、道を尋ねてみましたが、よく分からな
いようでした。右手の道に少し入ってみると、
まもなく薮道になってしまったので、左側の道
をゆくことにしました。連れになったSさんと
三角点の情報を色々交換しながら登っていると、
上の方から軽トラックが降りてきました。運転
していたのは、Sさんがこの林道に入ってくる
時に道を聞いた人で、自分でも山頂まで行って
きたそうです。三角点を見てみたくなったとの
ことでしたが、見つからなかったそうです。話
をしているうちに、山頂まで軽トラックの荷台
に乗せていってもらえることになりました。軽
トラックは、狭い道にもかかわらず見事なター
ンをして、我々は荷台によじ登りました。

 山頂までは10分ほどで着きました。トラッ
クの荷台に載るなどという経験は、何十年ぶり
のことだったか、とても愉快でした。
 道は途中から舗装が途切れますが、さほど荒
れてはおらず、山頂まで快適な(?)ドライブ
になりました。山頂には情報どおりに送電線の
鉄塔があり、やや広い広場になっていました。
あたりを探し回ると、杉林の中に東方向に続く
踏み跡があり、それをたどると一等三角点「一
本楢」がありました。欠けてもおらず、きれい
な状態でした。ここで軽トラックのYさんの記
念写真を撮り、後日送ってあげることにしまし
た。

 Yさんの軽トラックとSさんの乗用車を乗り
継いで花町集落に降り、自分の車に戻ったとき
に、ストックを三角点の傍に忘れてきたことに
気が付きました。残念!
		

三角点へと続く杉林の中の踏み跡

一等三角点「一本楢」

三角点のアップ

登路途中の山の神碑

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