ドビュッシー 交響詩「海」

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 この曲は、間違いなくドビュッシーの管弦楽作品を代表するもので、「牧神の午後への前奏曲」とと
もに、最もよく親しまれていると言えるでしょう。作曲は1903年から1905年です。「交響詩」
とも呼ばれますが、作曲者本人の命名では、「3つの交響的スケッチ」です。
 描写音楽ではなく、また特定のプログラムを持った作品でもありません。そもそもドビュッシーには、
海の体験が数えるほどしかなく、描写するほど本物の海を見ていないようです。ですからこれはあくま
でもドビュッシーの心の中にある海のイメージを音楽として定着したものだと思います。
 前述の通り、曲全体は次のように3つの部分(楽章と言ってもよいでしょう)に分かれます。

    1 「海の夜明けから真昼まで」
    2 「波の戯れ」
    3 「風と海との対話」

 いずれの部分でも、音色の変化と流動性が見事で、いわゆる印象主義音楽の最高傑作と言ってもよい
でしょう。私は、特に最初の部分の出だし、つまり夜明けの海の部分が好きです。え〜、実は私は釣り
師でありまして、夜明けを海で迎えることがよくあるのですが、この冒頭部分はまさに海の夜明けを彷
彿とさせてくれます。ただそれは、海そのものというよりも海岸、それも砂浜の海岸を連想してしまい
ます。先に書いた通り、これはドビュッシーの持っていた海のイメージによるものでなのでしょうが、
そのイメージを形成するのに影響を与えた数少ない海の体験とは一体どんなものなのか、興味のあると
ころです。

 この曲の録音は、自分でも意外なことに3種類しか持っていません。

1 ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団 1973年録音 FIC ANC-25
2 ピエール・ブーレーズ/ニューヨークフィルハーモニック 1966年録音 CBSソニー 22DC,5508
3 リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団 1993年録音 EMI TOCE-8379


 1のマルティノン盤は、標準的な演奏と言ってもよいと思い
ます。2ブーレーズ盤が決定盤だと思います。ドビュッシーが
持っていたであろう海についての様々なイメージを陰影濃く再
現した名演です。この録音は、LPも持っていて、しかもそれ
を不注意から破損してしまいました。それで、CDになってか
ら買い直したわけですので、私自身の思い入れも結構あります。
左の絵は、もちろん葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」ですが、私が
最初に買ったブーレーズ盤のLPのジャケットに使われていま
した。まぁ、「海」ということでこのダイナミックなイメージ
を使ったのだと思いますが、若干私には違和感がありました。
海にもいろいろありますからね。