ラヴェル ボレロ


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 モーリス・ラヴェル(1875〜1937)は、その生涯に4つのバレエ曲(他の3曲はマ・メール・ロワ、ダフニス
とクロエ、ジャンヌの扇)を書いていますが、この「ボレロ」はそれらの中で最後の作品ということになります。当時の
前衛的な舞踏家のイダ・ルビンシュタインの以来によって作曲され、1928年11月に彼女のバレエ団によってパリの
オペラ座で初演されました。
 ラヴェルはよく「オーケストラの魔術師」と言われますが、それはこの曲によってではないかと思われます。なにしろ、
同じ主題を全く変化させずに繰り返すだけで、変化するのは楽器の音色のと、音の大きさだけなのです。音の大きさも曲
の初めから終わりまで一直線のクレシェンドで、決して多様なダイナミックレンジを持っているわけではありません。
 曲は、小太鼓のソロによるボレロのリズムで始まりますが、一般に用いられるボレロのリズムとは少し違い、テンポも
遅くなっています。このリズムは曲中で169回も鳴らされます。曲は全部で340小節ですから、最後の2小節(コーダ)以
外全てこのリズムが鳴り続けていることになります。旋律の方は、2つの主題の2回ずつの繰り返しを1セットとして進
んでいきます。数式風に書くと、A×2+B×2で1サイクルとなります。これを楽器を変えながら(そして増やしなが
ら)5回繰り返すだけなのです。ただし、5回目の2回目のBは、コーダにつなぐために変化しています。

 この曲の録音は、次のものを所有しています。私としては、長年(LPの時代から)聴き慣れている小澤征爾のものが
好きです。切れのよさが抜群だと思います。車の中で高速道路を走行中に聴くと、実に快調に飛ばせます(?)。ただし、
ラヴェル自身はもっとゆったりとしたテンポを想定していた、と言われています。そうすると、曲がアンニュイな表情を
帯びるようです。

1 富田勲(シンセサイザー) RCA RVC-2250(LP)
   録音場所・年月日記載なし

2 ケント・ナガノ/ロンドン交響楽団 エラート WPCS-5900
   1997年12月18日ワトフォ−ド録音

3 ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団 CBSソニー 30DC707
   1981年9月12〜14日パリ録音

4 小澤征爾/ボストン交響楽団 DG 437 392-2(輸入盤)
   1974年ボストン録音

5 イーゴリ・マルケヴィッチ/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 フィリップス DMP-213
   1963年録音(録音場所記載なし)

6 佐渡裕/ラムルー管弦楽団 エラート WPCS-10203
   1999年3月パリ録音