ストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」


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 この曲は1912年から翌年にかけて完成されましたが、着想はもう少し前からあったようです。ストラヴィン
スキー自身はその自伝の中で、1911年の夏にバレエ「火の鳥」の最後を仕上げている最中に一瞬この曲のもと
となる幻影を見た、と言っています。その幻影とは、一人の娘が部族の長老が見守る中、死ぬまで踊り続ける、と
いうものであったそうです。これはつまり原始時代の生け贄の祭で、ストラヴィンスキーはこの時期、民族主義的
な作風から言わば原始主義とでも言うべき作風に変わってきていたことを象徴しています。

 この曲は1913年にパリのシャンゼリゼ劇場で初演されました。これはコンサートではなく、ニジンスキーに
よる振り付けのロシアバレエ団のバレエとして上演されたものです。この時の騒動は、今やほとんど伝説と化して
います。20世紀初頭とは言え、まだまだこのようなほとんど暴力的と言ってもよいような音響を受け入れる素地
は、まだ出来ていなかったのでしょう。

 曲全体は二部からなりさらに細かく次のように分かれますが、通して演奏されます。

	第1部 大地礼賛
	  1 序奏
	  2 悪のきざしと若い娘たちの踊り
	  3 誘拐の遊戯
	  4 春のロンド
	  5 競い合う部族の遊戯
	  6 賢者の行進
	  7 大地への賛仰
	  8 大地の踊り
	第二部 生け贄
	  9 序奏
	 10 若い娘たちの神秘な集い
	 11 選ばれた乙女への賛美
	 12 祖先の霊への呼びかけ
	 13 祖先への儀式
	 14 生け贄の踊り

 この曲の録音で所有しているのは、次の通りです。

1 小澤征爾/シカゴ交響楽団 RCA RVC-2016
  録音年月日、録音場所ともに記載なし
2 マルケヴィッチ/フィルハーモニア管弦楽団 TESTAMENT SBT-1076
  1951年ロンドン録音
3 マルケヴィッチ/フィルハーモニア管弦楽団 TESTAMENT SBT-1076
  1959年ロンドン録音
4 アバド/ロンドン交響楽団 DG FOOG 27038
  1972年ロンドン録音
5 モントゥー/パリ音楽院管弦楽団 ロンドン KICC 8175
  1956年頃録音 録音場所記載なし
6 小澤征爾/ボストン交響楽団 フィリップス 17CD-3
  1979年ボストン録音
7 ブーレーズ/クリーヴカリーズランド管弦楽団 CBSソニー 22DC,5515
  1969年オハイオ録音
8 デ・ブルゴス/ロンドン交響楽団 Collins SCO017
  録音年月日記載なし 録音場所記載なし

 以上のうち、2と3は、同じCDに収録されています。3の方の録音は、以前からLPをも所有しており、20
年以上聴き続けてきたものです。最もよく原始時代のエネルギーを感じさせる演奏ではないかと思っています。