ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55


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 この曲が、ナポレオンを念頭において作曲されたことは、間違いのないところでしょう。フランス公使を
通じてナポレオンに献呈される予定まであったようです。しかし、実際にはそれは実現しなかったのはご存
知の通りです。この辺りの事情は有名ですので、ここでは省きます。

 ベートーヴェンは、1803年の5月に作曲に着手し、1804年のはじめにこの曲を完成しました。こ
の年の12月に、この曲が献呈されたロブコヴィッツ侯の屋敷で非公式に初演されました。
 第2番の完成からわずか2年ほどしか過ぎていないのですが、内容的には大きな飛躍があります。それは、
中期の創作様式への移行と言うこともできます。これまでの交響曲と比べて、はるかに大規模になり、オー
ケストラの編成もかなり拡大しています。編成は、フルート2、オーボエ2,クラリネット2,ファゴット
2,ホルン3,トランペット2,ティンパニ、弦楽5部となっています。また、各楽章は次の通りです。
  第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ ソナタ形式
  第2楽章 アダージョ・アッサイ 葬送行進曲 ハ短調
  第3楽章 スケルツォ アレグロ・ヴィヴァーチェ
  第4楽章 アレグロ・モルト 変奏曲形式
 各楽章とも優れていますが、最大の聴き所は第1楽章です。フルオーケストラによる和音の2連発のあと、
直ちに第1主題が現れますが、この堂々たるメロディにはとても心引かれるものがあります。ベートーヴェ
ンも同じであったらしく、この主題は他にも何度か使用しています。

 この曲の録音で、私が所有しているのは次の通りです。

  1 ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
        DG 427 194-2 1969年ウィーン録音

  2 ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
        DG POCG-3259 1961年ベルリン録音

  3 セル/クリーヴランド管弦楽団
        ソニー SBK 46328 録音期日・場所記載無し

  4 ミュンヒンガー/南ドイツ交響楽団
        ロンドン F35L-50010 1983年11月シュトゥットガルト録音

  5 ケーゲル/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
        西ドイツデルタ社 J19451 録音年月日および場所不明

  6 ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
        フィリップス 420,228-2 1985年アムステルダム録音

  7 スウィトナー/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
        デンオン 33C37-7697 1980年60月23〜25日東ベルリン録音

  8 小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ
        フィリップス PHCP-11109 1997年4月ウィーン・ムジーク・フェライン録音

  9 ショルティ/シカゴ交響楽団
        ロンドン POCL-1001 1989年5〜9月シカゴ録音

 10 ケンペ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
        セラフィム TOCE-7101 1972年6月ミュンヘン録音

 11 (リスト編曲ピアノ版)カツァリス(ピアノ)
        テルデック 4509-97953-2 1985〜89年ベルリン録音

 12 フリッチャイ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
        DG POCG-3086 1958年10月ベルリン録音

 以上のうちでは、2のベーム/ベルリン・フィル盤が一番好きです。同じベームのウィーンフィル盤もある
のですが、ベルリンフィル盤の方がベームがまだ若いせいでしょうか、演奏に生気があるように思います。ま
た、「第9」のところで書いたのと同じような理由で、フリッチャイのものも好きで、よく聞きます。さらに、
最近はアバド盤と小澤盤の出番が多くなってきました。