たぶん完全なベートーヴェン作品リスト

　Ludwig van Beethoven(1770〜1827)
　ベートーヴェンという姓は、明かにオランダ系だそうです。同じルートヴィッヒの名
を持つ祖父は、現ベルギーのオランダ語（フラマン語）地域にある、メケレンという町
の出身です。
　祖父ルートヴィッヒは、ボンに移住してケルン選帝公の宮廷歌手となり、後には楽長
も務めた。父も音楽家でしたが、祖父ほどの地位は得られず、酒浸りの毎日を送ってい
て、経済的にも苦しかったようです。ベートーヴェンは、この父から幼時から音楽のス
パルタ教育を受け、これは、相当に過酷なものだったようです。
　ベートーヴェンは、１４才の時に宮廷のオルガニストに採用されました。これが音楽
家としてのキャリア第一歩でした。このころから作曲も手がけていて、WoO.47の３つの
選帝公ソナタなどがこの時期の作品です。１７８７年にはウィーンを訪れており、この
時にはモーツァルトにも会っています。モーツァルトが「天才が現れた」などと評した
というエピソードは、この時のこととされています（このエピソード自体は眉唾もので
すが）。１７９２年に、ワルトシュタイン伯爵の援助でウィーンに行き、以後活動の場
は、この中欧の都となりました。
　ベートーヴェンの創作活動は、周知のように３つの時期に分けられます。

　　　前期：１８０３年頃まで
	　ハイドンやモーツァルトの影響が強い時代ですが、後に開花する個性
　　　　の萌芽も見られます。この時期の代表作としては、（私の好みで）ピア
　　　　ノ協奏曲第1番ハ長調op.15を上げたいと思います。
　　　中期：１８０３〜１５年頃
	　作風が大きく変わり、大胆な技法によるダイナミックな表現を獲得し
　　　　ました。これは次のロマン派への橋渡しになりました。
　　　後期：１８２５〜２７年
	　中期のダイナミズムはやや影を潜め、より深い内省的な表現に到達し
　　　　ました。この時期のベートーヴェンの作品の持つ価値は、空前にして絶
　　　　後だと思います。

　ベートーヴェンは、さまざまなジャンルの作品に取り組みましたが、特に次の３つの
曲種が重要です。つまり、交響曲、弦楽四重奏曲、それにピアノ・ソナタです。これら
は、ベートーヴェンがその生涯のほぼ全期間にわたって創作し続けていたものだからで
す。また、よく言われることですが、ベートーヴェンには劇場的なセンスが不足してい
たようで、何よりも熱心に取り組んでいたオペラは、たった１曲しか完成していません。
この点はモーツァルトとは正反対と言えるかもしれません。しかも、このオペラ「フィ
デリオ」は、何度も何度も書き直したり、一度は題名まで変更する大改訂（「レオノー
レ」から「フィデリオ」へ）を行った末に、やっと完成したものの、その出来栄えはい
まいちのようです。

曲種別目次

		　ベートーヴェンが完成した唯一の歌劇。第１版（３幕,1804〜05）が不評で、第２版（２幕,1805〜06）
		も意にそわなかったので、第３版（1814）が作られた。第１と第２版の題名は「レオノーレ」。台本は、
		J.N.ブーイの原作（フランス語）をJ.ゾンライトナーが自由にドイツ語訳、第２版はS.v.ブロイニング
		が改稿、第３版はG.F.トライチュケとベートーヴェン自身が手を入れた。
		　初版はアン・デア・ウィーン劇場で1805年、第２版は同じくアン・デア・ウィーン劇場で1806年に初
		演された。また、第３版は1814年ケルントナトゥーア劇場（ウィーン）で初演された。