はやぶさ2の夜の覚書

去る12月6日の未明、はやぶさ2が帰ってくるというので、中継に貼りついていた。午前2時半にカプセルの火球を見届け、結局そのあとの中継も続けて見てしまい、3時過ぎに寝た。これは、めちゃくちゃ楽しかったので何となく何か書いておくべきだな、と思って書き留めておいた文章。

宇宙探査とか宇宙開発とか大好きで、はやぶさ2も、スイングバイを見送り、タッチダウンを見守り、なんかそういう節目節目のイベントをいちいち楽しみにしていて、それがとうとう地球まで戻ってくるというので、もう意味も分からないくらいそわそわしていた。ものすごいスピードで地球に近づいてくるのを、半月も前から毎日毎日公式サイトで確認しながら待っていた。ほんとうに意味がわからない。

私が一生をかけても決して辿り着けない場所に、たったひとり行って戻ってきたものがいるということに、何かものすごい憧憬と、壮絶な孤独と、なぜか途方もない悲しみを感じながら、一方では、どうしようもなく楽しくて楽しくて仕方ないような気持ちで画面を見ていた。

日頃、心待ちにするような物事は、そうそう見つからないのだと感じている。今年は特にそうだった。気持ちを遠くへ飛ばすことをさぼってはいけないのだな、と思ったりもした。

成し遂げたことの偉大さとか、プロジェクト運用の凄さとか、技術とか、そういうことひとつひとつに感動しながら、でもそれはここでわざわざ素人である私が書くようなことではないので省略する。

ただ3時過ぎに寝て、また起きたときに、何だか、私は結局こういうことを考えてしまうのだけれど、「こんな気持ちになれる小説を書きたい」と思ってしまった。楽しみで楽しみで仕方なくて、明朝まで起きてその瞬間を待っているような、そういう物語を。そしてその瞬間には、遥か遠くの、果てしない暗闇の向こうを想うことができるような物語を。結局お話を書くのが好きなので、最終的に辿り着くのがそこなんだな…。

はやぶさ2はもちろん現実のことで、これを成し遂げた人たちがいて、これからも多分、楽しみな気持ちで色々な情報を追いかけ続けていると思う。